糖尿病の患者さんの多くは、中医学的に考えると内熱があります。実は、西洋医学でも同じような考えがあり、全身に弱い炎症が起きていると考えています。炎症の指標、血中CRPがわずかですが増加していることはよく知られています。では、治療はどうするのか?いくつかの治験が行われていますが、あまりいい結果は出ていないようです。
漢方薬には、熱を冷ます方剤はたくさんあります。そして、自覚症状と共に舌診や脈診で、熱の存在が分かります。最近、軽い便秘、顔面紅潮、口内炎などがある患者さんに漢方薬の三黄瀉心湯を使ったことがあります。顔面紅潮は和らぎ、軟便が1日3〜4回出ると言われましたが、血糖値を見ると明らかに下がっていました。主薬の大黄などで体に溜まっていた熱が下され、より健康的な体に戻ったと思われます。
糖尿病も高脂血症も、食事療法と運動療法が基本治療となっており、本質的には病因は同じです。処理出来なかったカロリーの多くは糖や脂質に変えられ、血管の中に移されますが、一部は燃やされ内熱が生まれます。内熱が確認された方には、大黄を含んだ穏やかな寒下剤が便秘の解消と共に内熱を下すことで、体へのダメージを消し血糖や脂質を下げる効果が期待できます。さらに、胃熱がなくなれば、異常な食欲も薄まり食事療法がしやすくなります。もちろん、内熱がない方には全く効果はないでしょう。