アメリカ糖尿病協会の月刊誌、 “Diabetes Forecast”の12月号に、「Age and Wisdom」と題する記事があります。その中には、60歳以上の糖尿病患者さんに起きてくる6つの問題と、その対処の仕方についての記載があります。
1、視力に関わる問題
視力が落ちてくる。糖尿病性の網膜症や白内障が増えることで、血糖測定器の数字がはっきり見えなかったり、階段を下りることが難しくなる。
2、聴覚に関わる問題
ドクターが言っていることが分かりずらくなり、意思疎通もうまくいかなくなる。
3、新しい技術に関わる問題
新しい血糖測定器の使い方が分からない、示されている値がいつの血糖値なのか分からない。対策;スタッフと相談し、出来るだけ簡単な機械を選び、教わりながら使い方を覚えていく。
4、薬の服用に関わる問題
年と共にいろいろな病気になる。その結果、何種類もの薬が処方される。何時、どの薬を、どれだけ飲めばいいのか分からない。対策;薬箱を用意し、飲む時間帯毎に、それぞれの薬を分けて入れておく。財布に薬の飲み方を書いたメモと薬局の電話番号を入れておく。インスリン注射がうまく出来ない患者さんには、注射の手伝いをしてもらえる人を探す。そして、その人が来れる時間に合わせて、注射の時間を決める。病気に1番いい治療ではなく、患者さんに1番いい治療に変える。
5、運動能力に関わる問題
手先の器用さが失われていき、血糖センサがうまくつかめない、インスリンペンの操作がうまくいかない。足の爪がじょうずに切れずに、皮膚を傷つけ血が出る。対策;毎日の注射を、1週間に1回ですむ注射に変える。足の爪を切る時は、専用の爪切りを使う。あるいは、切ってもらう。
6、活動生維持に関わる問題
足腰の痛みのために、運動を避けるようになる。その結果、ますます足腰の痛みが悪化する。対策;常に、活動的であるように心がける。コマーシャルの間に運動する。部屋が狭いなら、皿を洗いながら、その場で足踏みをする。転倒するのが怖くて部屋に籠りがちな人は。自宅やアパートの周りを5分間歩くことから始め、徐々にのばして行く。椅子に座ってペダルをこいだり、アパートの廊下を歩く。
長く生きて来た糖尿病患者さんには、多くの変化が起きています。安全とストレスに注意して、自分の能力、生活の質に合わせて日常生活を変えて行きましょう。