糖尿病の患者さんで、不眠を訴える人が少なからずおられます。ほとんどの方が、「眠れないので薬をください。」と言われます。しかし、通常、睡眠薬は不眠の原因を治してはくれません。では、不眠の原因を治し、熟睡できる方法があるのでしょうか?
条文303に、少陰病之を得て二三日以上、心中煩して臥すを得ざるは黄連阿膠湯之を主る。とあります。不眠の原因と、その治療法が述べられています。
睛明から膀胱経に侵入した邪気(病原体)が、腎に入ることから、物語が始まります。
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(大椎) ― :太陽膀胱経
| ― :少陰腎経
| ― :厥陰肝経
心愈 心 ― :太陰脾経
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| 肝 - - 期門 - - - - - - →胃
| ↑
|- - →腎→
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膀胱
1)邪気が腎陰を消耗し、(虚)熱を持った気が腎脈を上り、肝に入る。
2)肝陰は消耗し、陰陽のバランスが乱れ、病的な肝気が暮穴である
期門から、脾経脈を通って胃に向かっていく。
3)胃は熱を持ち、その熱は脾経脈を通り心へ向かう。心の熱は、心経脈
を上り脳に達する。このことを、心中煩して臥すを得ざると言っています。
つまり、脳が熱を持つと眠れないのです。
この病態を主治する黄連阿膠湯とは、いかなる方剤なのでしょうか?次回、詳細に分析していきます。