条文103に、太陽病、経を過ぐること十余日、反て二三之を下す。後四五日柴胡の証仍在る者は先ず小柴胡湯を与う。嘔止まず、心下急、鬱鬱微煩する者は未だ解さずと為すなり、大柴胡湯を与え之を下せば則ち癒ゆ。とあります。やはり、眠れなくなるとは書かれていません。
嘔止まず、心下急とあります。邪気は胃壁の粘膜下組織だけではなく、一部は胃壁内の経絡内に残ったと考えます。鬱鬱微煩するとあります。心へ流れる陽気は多くはないようです。また、胃や肝や肺で血液中に入る陽気もそう多くはないようです。従って、不眠とはならないでしょう。
多くの陽気が、心経脈と血液を介し脳へ流れていくことで、不眠が起きることが分かりました。実は、脳へ流れる陽気がそれ程多くなくても、眠れなくなることがあります。
体を流れる血液量が少なくなっている場合です。この場合、脳内を流れる血液量も減少しています。少しだけ多めの陽気が、心経脈を介し脳へ流れれば、相対的に陽気過剰となります。脳活動は活発になり、眠れなくなるでしょう。