40台の男性の糖尿病患者さんが来院されました。以前、他院でもらったインスリン抵抗性改善剤が欲しいと言われました。理由を聞くと、“中性脂肪を下げるためです。”と言われました。確かに、前回検査時の中性脂肪は300 mg/dl以上ありましたが、“効果は期待出来ませんよ。”とお答えしました。
理解しずらいとは思いましたが、なぜ無意味なのかを説明しました。まず、患者さんの中性脂肪の値は、ある時は100台である時は700 mg/dl近くもあります。常識的に考えると、薬でコントロールするのは無理でしょう。この薬を飲んで血糖と一緒に中性脂肪が下がった時、体の中で何が起きているのかを考えて欲しいと思います。余った栄養を自由に体脂肪に変えれない人は、肝臓などで糖や脂肪や尿酸などに変えて血液(と体液)の中に蓄える道しかないのです。そう、この薬には、余った栄養を体脂肪として蓄えさせる力があるのです。従って、生活習慣が変わらず体重が限界近くまで増えた時、血糖や中性脂肪などが増加するのは必然なのです。今ならこの患者さんは、増加した中性脂肪は薬など使わなくても必ず下がります。