インスリン治療が必要な患者さんの多くは、注射を嫌がられます。そして、“インスリンの飲み薬はないのですか?”と質問される患者さんもおられます。残念ながら、現在、インスリンの飲み薬はありません。しかし、近い将来、注射ではないインスリンが使える時代が来るでしょう。アメリカ糖尿病協会の月刊誌、 “Diabetes Forecast”の5月号に「The Next Generation」と題する記事があります。
どうも、インスリンの吸入剤と飲み薬が開発されているようです。実は、インスリンの吸入剤は、2006年 9月にアメリカで発売されたのですが、思ったように売れなかったので、製薬メーカーが2007年10月に販売を中止してしまいました。しかし、開発は続けられており、新しいインスリン吸入剤は期待が持てる薬剤のようです。肺からの吸収が早く、超速効性インスリンの代わりに使われるかもしれません。インスリンの飲み薬は、三社が開発しているようです。腸管でのインスリンの消化をブロックすることで、インスリンの体内への吸収を可能にしています。吸収されたインスリンは肝臓を通るので、注射製剤に比べより生理的です。発売後、適切に使われたら、糖尿病患者さんへの恩恵は大きいと思います。