条文319に、少陰病、下痢六七日、欬して謳し、渇し、心煩わして眠るを得ざる者は猪苓湯を主る。とあります。胃壁内に入った陽気に水が反応した場合のことを述べているようです。
1)邪気の腎侵入に伴う腎陰消耗と胃へ流れる陽気の減少
↓-->胃 陽気の流れは減少
↓
↓-->(*)腎 邪気処理のため、陽気が腎へ侵入し、
邪気 腎陰を消耗した。
2)腎脈気による肝気の乱れと偏流
肝 肝気が乱れる 期門 肝 肝脈気は、肝へは
↑ 陽気過剰の腎脈気 ↑ ↑ 流れ難く、期門に
腎 ↖ ↗ 向かって流れる
↑
3)胃壁内での新たな邪気産生
期門---->|->*|
↗ ↑ 胃壁内
肝経脈 脾経脈
・気の流れが悪い胃壁内に陽気が流れ込む。胃壁内の不要な物質などに陽気が集まり邪気となり、水が集まってきた。
・胃壁内へ向かう、胃経脈の脈気が乱れ、嘔吐した。
4)胃壁内での陽気鬱滞と脾陽低下
肺 心
↑ ↗
期門--->|->*|- 脾
・腸管の運動能は保たれ、脾陽気は低下するので下痢となる。
・肺気は乱れるので欬し、肺経脈と胃経別の陽気が咽喉で交わり、渇する。
5)脳内陽気の増加と血流の低下
脳
↑心経脈
心
-->|->*|
・心経脈を多くの陽気が上って行き、肝血放出量低下による脳血流も減少する。睡眠に関わる脳組織は、熱を持ち、虚血となるので心煩して眠れなくなる。
この病態を主治する猪苓湯とは、いかなる方剤なのでしょうか?次回、詳細に分析していきます。