条文40に、傷寒、表解せず、心下に水気有りて乾嘔、発熱して欬し、---小青竜湯之を主る。とあります。眠れなくなるとは書かれていません。何故でしょうか?
不活化した邪気の一部は表に残り、残りは経脈を通って胃に向かいます。ウイルスなどの病原体は、通常では胃壁内に達するまでに活性を無くす(死ぬ)と考えます。不活化した物質に陽気と水が反応し、新しい邪気(おそらく寒湿)が出来ます。この邪気の周りにも陽気と水は集まってきます。このことを、心下に水気有りと言っています。また、胃経脈の脈気は、胃壁内に入り乱れ、胃平滑筋を収縮させるので、乾嘔します。発熱するのは表に邪気がいるからで、欬するのは胃壁内での陽気の鬱滞が、肺経脈と肝経脈を介して肺に影響するからです。
胃壁内の邪気は熱化していません。つまり、この邪気は、陽気を集める力が弱いと思われます。よって、心へ流れる陽気も多くはなく、不眠とはならないのだと考えます。
心
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流れ込む陽気は多くはない
では、小柴胡湯や大柴胡湯の場合はどうでしょうか?次回、詳細に検討してみます。