小承気湯は、大黄、厚朴、枳実からなる方剤です。服用すると、主に胃で以下のように働くと考えます。
漿層 粘膜筋板
|筋層|粘膜下組織|粘膜|胃内
大黄 〇 おそらく微小循環を活性化する
厚朴 〇 邪気を動かす
枳実 〇 邪気を動かし排泄しやすくする
胃壁内に入った邪気が、胃内へ排泄されずに留まっていることが、気の鬱滞を招いている原因です。ですから、大黄で熱を胃内へ放散し、厚朴と枳実で邪気を動かし、胃内へ排泄すれば胃気の鬱滞が解消されるでしょう。このことを著者は、胃気を和すと言っています。胃気が和せば、大腸経の気も通常の流れに戻るでしょう。
大承気湯は、大黄、厚朴、枳実、芒硝からなる方剤です。そして、厚朴と枳実が増量されています。大腸での気の鬱滞は燥糞を作ります。この燥糞を排泄するためには、
1)胃気を和し、胃と大腸の気の流れを正常に戻す。
小承気湯と同じ生薬を含み、胃気を和す力がある
2)燥糞を軟化させ、邪気を大腸内へ排泄し、排便させる。
----->胃 邪気(+)で気の鬱滞
↑
天鼎
↗ ↘---->大腸 燥糞(+) 新しく出来た邪気?
気血の流れが乱れている
大黄:微小血管の流れを活発にして、大腸壁を潤す。
芒硝:大腸内へ水を引き、燥糞を清熱し軟化させる。
厚朴、枳実:(邪気を大腸内へ排泄し)気血の鬱滞を解消して排便させる。
次回は別の機序による便秘についてお話します。