条文247に、趺陽の脈浮にして濇、浮なれば則ち胃気強く、濇なれば則ち小便数。浮濇相搏てば、大便則ち鞕し、其れ脾約たり。麻子仁丸之を主る。とあります。分析してみます。
趺陽の脈は足背動脈拍動部の脈で、近くに胃の原穴、衝陽穴があります。この脈は、胃気の影響を強く受けます。浮なれば則ち胃気強くと言っています。濇脈は、渋脈と同じ脈なので、抹消(足)血管抵抗が亢進していることを暗示します。足に邪気はいないので、下肢の静脈圧が亢進していることになります。この亢進は、門脈血の増加による大動脈血量の増加が原因と考えます。門脈血の増加は、胃熱(と邪気)による脾機能亢進によるものと考えます。
心臓--------->腎血液量↑:尿量増加
↑ 肝静脈 門脈
↑<---肝臓<---脾--胃
↑ 熱、気の鬱滞で生まれた邪気
下肢の静脈圧は増加する
門脈血量の増加は、腎血液量の増加と大腸壁の渇きを引き起こし、尿量増加と便の硬化をもたらします。このことを著者は脾約と言っています。脾約による便秘は、麻子仁丸が主治します。それでは、麻子仁丸とは、いかなる方剤でしょうか?次回、詳細に分析します。