防風通聖散は、当帰、芍薬、川芎、白朮、大黄、芒硝、甘草、滑石、山梔子、黄芩、防風、薄荷、麻黄、桔梗、生姜、石膏、荊芥、連翹からなる方剤です。
胃熱の原因は、主に肝気の鬱滞と、飲食物の不摂生です。この方剤には、当帰芍薬散の加減、調胃承気湯、麻杏甘石湯などの生薬が含まれています。
まず、当帰芍薬散について分析してみます。この方剤は傷寒論ではなく、金匱要略に記載されています。服用すると、以下のように働くと考えます。
茯苓、白朮、沢瀉
腸管の絨毛---門脈--->肝臓
↑ 当帰、芍薬、川芎
胃
1)吸収された栄養を含む門脈血を肝に供給し、保持する。
白朮、茯苓、沢瀉と芍薬
2)肝動脈から供給された血を保持し、血流を整える。
当帰、芍薬、川芎
熱があるため、茯苓と白朮の代わりに滑石が使われています。そして、薄荷、防風で肝経、脾経脈の気の鬱滞を解いていく。よって、肝気の鬱滞による胃熱の発生を防ぐことが期待できます。次回は、調胃承気湯について考えてみます。