60代の男性が来院されました。眼科を受診されたようですが、網膜症はないと言われたそうです。わずかな尿タンパクが出ていますが、神経障害も動脈硬化もありません。この方のヘモグロビンA1cは11年前は5.1%でしたが、徐々に増加し数年前から10%前後を推移しています。太り気味ですが、12kgほどスリムになられました。そして、不思議なことに空腹時血糖は、〜250 mg/dlですが尿糖は出ていません。インスリン治療を望まれず、SU剤だけで治療してきました。
糖尿病の治療は、血糖を下げることではなく、健康を取り戻すことであると考えています。健康を取り戻し維持するための治療を行ってきたからでしょうか、合併症もほとんどなく元気に生活されています。もちろんこのままではいずれ抵抗力などが低下してきますので、“改善出来る生活習慣を探して、ゆっくりヘモグロビンA1cを8%以下にしましょう”と話しました。