数日前、60代の男性の糖尿病患者さんが来院されました。体重減少もかねてGLP
1関連薬の注射を希望され、約2年間毎日注射されていました。体重の減少があまりなく、ヘモグロビンA1cは
7%〜8 %の間を移り変わっていました。手術をされることになり、数ヶ月前から食事と運動療法を頑張られ、ヘモグロビンA1cは6.5 %まで下がりました。ある時、ビグアナイド剤だけで頑張りたいと言われました。注射を中止したにもかかわらず、術前にはヘモグロビンA1cが6 %近くまで下がり、手術は無事に終わりました。
術後、徐々に血糖コントロールが悪くなり、8 %まで上がっていきました。そこで、皮下脂肪の能力や脳の反応性の異常についてお話しました。そのかいがあって術前の生活に戻られ、食事に気をつけて運動療法を頑張られたようです。現在、ヘモグロビンA1cは6.8 %、食後血糖は155 mg/dlと良好な血糖コントロールを保たれています。患者さんがぽつりとおっしゃいました。“あの高価な注射は何だったんですかね?”。2型糖尿病の真の原因を理解され、自分には注射剤が必要なかったことに気づかれたようでした。