60代の男性の糖尿病患者さんが来院されました。朝食前の血糖が248 mg/dlでしたが、尿糖は陰性(ー)でした。一般には、血糖が〜170 mg/dlを超えると尿糖が陽性(+)になると言われています。そうすると、この患者さんは尿糖が出にくい体質なのでしょうか?ここで見方を変えてみましょう。糖尿病の秘密が、垣間みれるかもしれません。糖は大事なエネルギー源なので、捨てずに溜め込んでおいたほうがいいのです。体脂肪として自由にエネルギーを蓄えられなくなった時、体への害が少なければ、血液の中に糖をたくさん溜め込むことは、決して悪いことではありません。当然、高血糖にはなりますが。
この患者さんは、合併症がほとんどありません。つまり、この程度の糖は溜め込んでも、体はなんとか耐えられるんです。おそらく、完全ではないのでしょうが、体が高血糖に適応出来たのでしょう。もちろん、このままコントロール不良のままにしておくと、静かに体は壊れていくでしょう。しかし、時間的な余裕は残されています。