当院には、ヘモグロビンA1cが10%前後あるのに、糖尿病の薬を飲みたがらない患者さんがけっこうおられます。60代の女性で、高脂血症の薬を1剤だけ飲まれている患者さんがおられます。初診時から数年間はヘモグロビンA1cは、6%台をキープされていましたが、4年程前から徐々に上がっていき、ついに10 %になってしまいました。“薬をお勧めすると、しばらく待って下さい。”と言われ帰って行かれました。しばらくすると、某クリニック(院長は糖尿病専門医)から手紙が届きました。“この患者さんには、薬が必要であることを説明しました。先生と同じ考えです。”と記載されていました。2週間後に、当院に来院された時、“インスリンの分泌能、インスリンに対する体の反応性から考えると8%を切ることは可能です。合併症も認められないので、食事と運動療法で経過をみましょう。”と提案をさせてもらいました。主食の取り方、砂糖と塩の使い方、油の考え方、食事を楽しむ方法などをお話したところ、8ヶ月後にヘモグロビンA1cは、7.5 %まで改善しました。
この患者さんも、徐々にヘモグロビンA1cが増加してきています。これは、糖尿病が悪化したためではありません。もとの生活に戻ってしまわれたからです。生活習慣を改善するには、自分に合った運動と食事を楽しむ方法を見つけることです。