かなり昔の話になりますが、“私、疲れると熱が出るんですが。変ですか?”と尋ねられた方がおられました。疲れて熱が出るということは、聞いたこともなかったものですから、“熱が出た時来てください、検査をしてみます。”とお伝えしました。また、研修医の時、大学病院で微熱が続く女性の患者さんを診させてもらったことがあります。指導医の先生とも相談し、出来る検査は全てしました。しかし、原因は分からず、対処療法でその場しのぎをしていました。
中医学では、気虚(気の不足)で微熱が出ることはよく知られています。補中益気湯という漢方薬も作られています。発熱の原因は、陽気内鬱と考えられていますが、諸説がありはっきりしていないようです。最近、うつ病で診ていた糖尿病患者さんに、この漢方薬を使ったことがあります。診察中に、本人からはっきりと言われました。“あの漢方薬を飲むと、熱が下がりました。”この患者さんは、うつ病も治り、就職も決まりました。