講演会で糖尿病治療薬の話があると、糖尿病専門医が普通に使っているSU剤を否定するような演者が多いのには閉口してしまいます。アメリカ糖尿病協会の学術誌“Diabetes Care”の5月号に、「Second-Line Agents for Glycemic Control for Type 2 Diabetes: Are Newer Agents Better? 」と題する論文があります。最初に使う経口血糖降下剤は、BG剤(メトフォルミン、メトグルコなど)ですが、効果が不十分の時、最初に追加する薬についてはどれがいいかは意見の一致をみていません。そこで、信頼出来るモデルを作り、そのモデルを使ってどの薬が候補となるかを調べた論文です。
処方箋は、4つです:T1;メトフォルミン(BG剤)→BG剤+SU剤、T2;BG剤→BG剤+DPP-4阻害剤、T3;BG剤→BG剤+GLP1類似薬、T4;BG剤→BG剤+インスリン。評価されたのは、診断日から初めて合併症が現れるまでの時間(LYs)、生活の質を考慮したLYs(QALYs)、診断日からインスリン依存性になるまでの時間、生活の質を考慮した診断日から合併症があらわれるまでに費やした医療費の4つです。
*SU剤;ダオニール(オイグルコン)、アマリール、
グリミクロンなど
DPP-4阻害剤:ジャヌビア(グラクティブ)、ネシーナ、
トラゼンタ、エクアなど
GLP1類似薬:ビクトーザ、バイエッタ、リスキミア
生活の質は、低血糖の起きやすさ、体重の増えやすさ、
注射かどうかを数値化して評価してあります。
来週、37501名の患者さんのデータを使って、コンピューターで計算された結果をお示しします。驚愕の結果かもしれません。