糖尿病患者さんは、ヘモグロビンA1cを何処まで下げればよいのでしょうか?低血糖のリスク、薬の害、経済的な問題などを無視して決める事は出来ません。アメリカ糖尿病協会の学術誌 “Diabetes Care STANDARDS OF MEDICAL CARE IN DIABETESー2015”が2月2日に届きました。
7%以内を目指すことは、大事な事です。しかし、達成出来なかった場合、薬を増やしたり、インスリン治療を選択して、ヘモグロビンA1cを7%以内にすることが、全ての患者さんにとってはたして良い事でしょうか?7%以内にした方がよい患者さん、7%以内にしてもメリットがない患者さん、無理して7%以内にしない方がかえって良い患者さんもおられるはずです。この雑誌には、きわめて常識的なことが述べられています。
低血糖や薬の副作用が起きやすい方、長く糖尿病を煩っている方、余命が長くない方、認知症がある方、重症の血管合併症がある方、血糖コントロールに対するモチベイションが低い方、サポート体制が弱い方、これらの方は厳格なコントロールをしない方がよいようです。現状の診療技術を考えると、実に妥当な考え方だと思いませんか。